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遂に警官の理性が吹き飛び叫び始めたのとそいつが現れたのはほとんど同時だった。いや、そいつのせいで限界を突破したのかもしれない。
「てめぇかあぁぁぁぁぁぁ!」
「他にだれがいると思ったんだよ。」
後からきたその男は誰がみてもおかしな格好だった。真っ黒な羽織をきて、その上から着ているフードで顔を隠していた。
だが、何よりも異形だと思わせたのは左手に真っ赤な液体を滴り落とす刀をだらしなくぶら下げて持ち、右手に人の頭を、部隊長にも見える認めたくはない物を手でつかんでいたから。
「つーか、ギャアギャアうるせぇよ。ちゃんと原型とどめてんだからさぁ。」
その瞬間警官は理性を取り戻した。いつの間にか男は目の前にいた。男が近付くためにかがんだせいか、男は見上げる姿勢で嗤いながらこちらをみていた。そしてこの警官の肩にはいつの間にか刀が乗せられていた。
(はや…っ!!)
「どっから切られたいんだぁ?」
「かっ……!」
「肩?オーケーオーケー。」
警官は肩に乗っている刀の残酷な冷たさとその刀についた血の生暖かさの混ざった不純な温度に気持ち悪さを感じていた。が、それも一瞬だった。
金属のこすれる音がして刀の刃が肩に対して垂直になったのを感じる。
「まず…っ!」
警官は反射神経だけで動いた。動いただけだった。
右腕の皮膚ははがれ、血がゆっくりと溢れ出した。
「ぐっ!」
「へぇ。流石だ。」
男はその様子を侮辱にしか感じられない口調で賞賛の言葉を贈った。
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