チョコレートと恋心

Ⅰ

「えーっと…」

「ん？どうしたんだい？」

私の前には、さっきの男の人がいます。
ちなみに、名前は湊川 葵(みなとがわ あおい)というらしいです。

そして、何故私がこんなに戸惑っているのかというと、湊川さんに腕を掴まれたまま、ちょっと人通りの少ない裏路地のオシャレな喫茶店に、連れて行かれました。

その喫茶店には、誰もいませんでした。
今、湊川さんはその喫茶店で、ジャスミンティーを淹れてくれています。

ということは、湊川さんと私は勝手に無人の喫茶店に入ったとなります！

つまり、私達は悪い子です!!

「わっ…！私っ！帰りますｯ!!」

そして、私は喫茶店から飛び出して、駅に向かって全速力で走った。

私、まだ悪い子になりたくないもん！