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俺は小説を書くとき、普通、平凡、それらごくごく一般的な感性を大事にしている。
だがそれが裏目に出るとは。
歯痒い話だ。
鯨はふと思い立ったかのように太宰治の小説をひらひらとめくり始めた。
街灯の灯りを便りに真ん中らへんの一枚を破った。
俺はその一枚を受け取った。
対価らしい。彼いわくハンバーガーは自分の胃腸で消化して吸収する。
その代わり、俺は小説の文章を目で読み取り吸収する、らしい。
まったく不可解な男だ。
彼は帰り支度を始めた。
ついでに凪に会いに来ないかと誘うとやんわりと断られた。
さすがに無理な願いだった。
彼の母親は凪に殺されたのだから。
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