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ある日、いつものようにバイトを終えて帰宅すると、
天井から何かがぶら下がっていた。
電気を点け、それが何かを確かめた。
すぐに分かった。
先端が丸く結わえられた麻縄。
ドラマなどでよく見る、首吊りの輪であった。
最初はびっくりしたし、不気味に思った。
こんなものを作った覚えはない。
誰かが勝手に私の部屋に入り、これを付けていったのか。
気味の悪いイタズラだが、こんなことをされる心当たりはない。
少々腹は立ったが、特に実害があるわけでもないので、
無理にもぎ取ろうとは思わなかった。
しばらく仰向けになってそれを眺めながら、
いろいろ考えていた。
その内、風でふらふらと揺れながらボロ天井に
ぶら下がっている輪に対して、親近感のようなものが沸いてきた。
ひょっとするとこれは、神の思し召しというやつかもしれない。
憐れな境遇の私に対し、与えるべきものを与えてくれたのだ。
つまり、この縄で死ね、ということか。
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