第三話 夜空のトランペット

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その日は泣きながら帰りました。 「自分は音楽をやっちゃダメなんだ」 その時は本気でそう考えました。 そして途中、トランペットの重さにすら腹が立っていた僕は、 持っていたトランペットのケースを橋の上から 思いっきり川へ投げ捨てたのです。 ケースはそのまま、真っ暗な川の中へと沈んでいきました。 帰宅後、母親からは怒鳴られ、 父親からは顔が真っ赤に腫れるぐらい殴られました。 それ以来、僕は音楽とあまり関わらない生活を 送るようになりました。 学校での音楽の授業も適当にやりました。 吹奏楽部の部員と廊下であったりすると、 嘲笑われたりもしましたが、ひたすらに無視しました。 そうして月日が過ぎていき、高校三年生になったある日の夜。 自分の部屋で期末テストに向けて勉強をしていると、 外からトランペットを吹く音がしてきました。
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