第二話 誘う輪

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私は落ちこぼれだ。 名前を書けば入れる底辺の大学を卒業し、 面接を受ければ入れる三流の企業へ就職した。 だが、仕事がロクにできず、一年足らずでクビになった。 次の会社は、3ヶ月で解雇された。 小さな頃から、人と話せない。 人に対して、対等にふるまうことができない。 クラブにもサークルにも入らず、常に一人きりだった。 高校時代も中学時代も友達は少なく、 大学時代には一人もいなかった。 実家も貧乏、仕送りの余裕もない。 夜九時、時給750円のレジ打ちのバイトを終えて帰宅し、 ボロアパートの四畳半で仰向けに寝転がる。 そして、湿り気でふやけた茶色の天井を眺めながら、 今までの、そしてこれからの人生について考える。 何故こうなってしまったのだろうか。 生きている意味はあるのだろうか。
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