第二話 誘う輪

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自殺自体に抵抗はなかった。 ただ、準備をするのが面倒臭かったから、やらなかっただけだ。 目の前にこんなものが突然現れたのだから、 やってもいい頃合いなのだ。 私はちゃぶ台を縄の下に持ってきて、その上に乗った。 輪の部分を掴み、顎を通そうとした時、あることに気が付いた。 この縄は、どこから生えているのだろう。 私はもう一度、天井を目視した。 縄の先端は、天井を貫通していた。 天井板から生えているようにも見えた。 この板の向こうは、一体どうなっているのか。 私は、縄が生えている天井板を持ち上げ、裏を見ようとした。 すると突然、縄が激しく揺れだした。 驚いた私はちゃぶ台から落ち、尻餅をついてしまった。
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