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「ほほほ、相変わらずこの時の反応を見るのは面白いのう」
コクリは再び人間の姿になり、口元に手を当てて上品に笑う。
いち早く我に返ったソラは
「……ま、魔物だったのか?」
「その通りじゃ。なんじゃ、妾が魔物なので狩るつもりかの?挑戦なら受けて立つぞ?」
「いや、そのつもりはない。元々人に危害を加える魔物を倒すのがオレ達の仕事だ。……それに冷静になって魔力を探ってみたんだが、勝てる気がしないしな」
「ほほ、賢明な判断じゃ。700年間氷山で洗練された妾の氷の魔力は深淵に達しておるからの」
それすらも打ち破る者もおるのじゃが、と俺を見ながら付け足した。
ふっ、俺はそろそろ20回目の世紀末を迎えるからな。
「それじゃ、報告するぞ。まず依頼の方は大成功。生け捕りだから養殖も既に始めてある」
ほらよ、とソラにスノーウォビット(生存)を投げ渡す。
「うわっぷ。めちゃくちゃ元気じゃねぇか!?あっ、こら、逃げるな!」
面白いので放っておく。
「次に魔国の研究についてだ。回収された死体はやっぱり実験に使われていて、生物兵器になってたよ。そいつは殺したし、犯人も検挙、もしくは死亡。とりあえず直接の危険は去った、ってところだな」
「むぅ、主様は随分と面白そうな事をしておったんじゃのう」
と、コクリは残念そうに呟く。
そんなことを言うのはお前だけだろうよ。
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