夏休み明けのある日

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~それから数分後~ 「そういえば兄さん、魔法について何か分かりましたか?」 食器を洗いながら鼻歌混じりにそう言った凛にあまりよい返事はできない勇二はハハッと軽く笑みを浮かべた 「兄さんは考え過ぎなんですよ、取得魔法は兄さんだけが使える凄い魔法…それでいいじゃないですか」 確かに自分の個人魔法がどうして使えるのかなど考えて生活している人間なんて極少数だろう、しかし勇二の場合は普通とは違う…これ程までに特殊な魔法を何故自分のような普通の人間が使えるのか、そして最大の謎である『何故取得魔法について誰も調べたがらないのか』も勇二が気になっている理由だった。 先ほども説明したように勇二の個人魔法『取得魔法』は普通、人間が1人に一つしか持つことができない個人魔法を複数所持することのできる魔法である 取得魔法だけでは何の力も持たない魔法だが他者との交流でその人間の個人魔法をコピーし、複数所持する…その気になれば世界中に存在する全ての魔法を所持することができるのだ。 それが何を意味するか、凛の『深層心理監視魔法』のような魔法ならまだいいがもし人を殺してしまえるような魔法を複数所持したら……馬鹿でもわかる、世界で最も危険な人間になるということだ。
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