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いつもは高比良君というオールバックのイケメンにお姫様抱っこされるところから始まるけれど、今回はそうはいかなかった。
バスに乗ったところからアタシの物語は始まる。
正直なところ強化合宿なんて行かずに屋敷でゴロゴロしたかったけれど、親友に誘われた以上、断るわけにもいかない。
アタシ、藤澤真央は歩くことすら放棄した怠惰な生徒会長として君臨していたかったけれど致し方ないことだと腹を括る。
ちなみにアタシは最前列の座席に座っている。
その理由は、アタシを運ぶ手間を軽減させるためらしい。
「さわちゃん! 木が生い茂ってるよ! なんだか凄いね」
隣の窓際で座っているのが、件の親友。
生徒会書記をやってくれている癒し系、三宮茄子ちゃん。
栗色の綺麗な髪と丸いメガネが特徴の女子で渾名は『なーちゃん』という。
彼女の豊満なバストは暁光学園の男子を釘付けにするほど魅力的だから即座に彼氏を作って青春を謳歌するはずだと踏んでいたのだけれど……。
「スギ花粉と粘膜を擬人化したら傑作にならないかな? もちろん同性じゃなきゃだめだよ! ホモホモしいのが最高だよね、さわちゃん!」
「え、えっと……アタシにはハードルが高いかなぁ」
なーちゃんにとっての青春は妄想をすることであって、男子はBLネタを潤す素材でしかないみたい。
もう少し異性を恋愛対象として見るべきだと思う。
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