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しかし、マネージャーは結構手強かった。 と言うより、とにかく私とは性格が合わないようだ。 短大出の女の子は特に威圧的だとは思わないようで、普通に接していたから・・・。 英会話の先生達の明るさに助けられながらも、何ヶ月経っても上手く馴染めない職場だった。 そんなある日、休憩時間に珍しくメールをチェックした私は、サークル仲間の真由美から「今日何時ごろ帰る?」とメールが来ていることに気づいた。 その日は遅番だったので、結構遅くなると返事をすると、「家に着いたらメールして。何時でもいいから。」とメールを受信した。 なんだろう。何かあったとしか考えられない。それも良くないことのような気がする・・・。 自宅に帰ってすぐ、真由美にメールする。 すると珍しく真由美が自宅へ電話を掛けてきた。 「遅くに、疲れてるのに、ごめんね。」 「ううん、大丈夫だよ。どうしたの?」 ちょっと躊躇っているのか間がある。その後、 「あいつに、別れようって突然言われたの。」 と重い口調で話し出す真由美。 真由美の彼とは何度か食事をしたりしたことがあり、面識はある。二人ともいちゃいちゃする事はなくいつも落ち着いた感じで、長年連れ添った夫婦のようだった。実際付き合っている期間は随分長い。 「えっ、なんで?喧嘩したの?」 私は結構ショックを受けて、搾り出すようにそういうのが精一杯だった。 「ううん。いつもと同じで特に何も変わった事なんてなかった。ほんとに突然で全然理由が分からないの。」 「理由、訊かなかったの?」 「訊いたけど、別に・・・とか言ってよくわかんなかった。」 何それ!?と思わず言いそうになるのを抑えた。 「どうしよう。私、ショックでどうしていいのか・・・。別れたくないよ。そんな事急に言われても受け入れられないよ。」 ぽつりぽつりと言う真由美。そして最後の方は嗚咽でちゃんとは言葉になっていない・・・。 「何も思い当たることはないの?」 どうしていいのかわからず、必死に言葉を紡ぐ。彼女が泣くなんて初めてのことで、なんて言えばいいのかわからない。気の利いた言葉なんて何も思い浮かばなかった。
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