出会い

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それから数週間後の金曜日。 私は大学時代の友人と夕飯を食べる約束をしていた。 「じゃ、いつもの時間にいつもの場所でねっ。」 さっき来た確認メールに、合言葉のように書いてある。 いつも待ち合わせ時間は7時。 会社は23区内ではない所謂都下にあったが、特快に乗れば30分で行ける場所にだった。 「お先に失礼します。」 ちょっと早いけど、今日は終わりにしよう。 6時過ぎの特快を目指して、席を後にした。 エレベーターホールに出てエレベーターを待っていると、芹沢係長もコートをはおって鞄を持ってやって来る。 「今日は早いんですね。もう帰るんですか?」 花の金曜日(?)だから、係長も飲み会かな?と思いつつ、そう声をかけた。 「うん。小関さんはこれからお出かけ?」 「はい。ちょっと新宿に・・・」 ようやくエレベーターが来て、ドアが開く。 「飲み会?」 「そうです。学生時代の友人と。」 「よく会うの?」 「そうですね。会社帰りには月2回ぐらいですかねぇ・・・。平日会えない週は大抵代わりに土日に会ってるんで、ほぼ毎週会ってますけど。」 「すごい頻度だね。」 係長はさすがに驚いたようで目を丸くしている。
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