出会い

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そんなたわいもない話をしている内にあっという間に駅に着いた。 会社は駅から徒歩2分ぐらいだから、当たり前だけど・・・。 いつもなら、都下に住んでる私は下り、23区内に住んでる係長は上りの電車に乗るから、ホームで「お疲れ様です」と一礼して別れる。 でも今日は私も上り。少し混んでいる特別快速電車に一緒に乗り込んだ。 一瞬、飲んでもいないのにずっと一緒だなんて話題がなくならないだろうかと心配になった。話易い人とはいえ、飲みの席でないと気を使う。沢口さんだったなら、話題が途切れてもそれ程気にはならないんだけど・・・。 でもそんな心配は不要だった。 あれだけ仕事中に関係ない話を堂々とする人だけあって、話好きだった。特にへんな間もなく、かといって無理やり話す感じでもなく、あっという間に目的地の新宿へ着いた。 係長も新宿で降りたけど、 「じゃ、楽しんできて~。お疲れ。」 と言って、さっと人込みの中へ消えていった。 係長の家って何処だったっけ?前に山田課長が「●●区なんて芹沢君はいいところに住んでるなぁ」なんて話しかけてた様な気がするけど・・・。何区だったっけ? あっ、でも今日は係長も新宿で飲み会かもしれない。 なぁんてぼんやりと考えながら待ち合わせ場所を目指す。 「あっ、すみません。」 肩がぶつかった男性がそう言いながら、足早に去っていく。 金曜日の東新宿は、人が多すぎでぼんやりとしてるとすぐにぶつかる。 まあ、そんなことはどうでもいいやっ。 さすがに6時半じゃ誰も来てないだろうし、どうやって時間を潰そうかな~。デパートまで行くのは面倒だから、とりあえずアルタに行こう! すっきりと頭を切り替えて、向かってくる人波に飲まれない様うまく避けながら進んでいく。
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