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二度あることは三度あるとはよく言うけれど、さすがにこれって偶然なのかなと疑問に思った。
だって私、また係長と二人っきりでこの間と同じ居酒屋に居る。
他の先輩とは彼より長く一緒に働いてるのに、帰りの時間が一緒になったことって、数える程しかない無い。なのに係長だけしかもここ最近頓に多いのは変じゃない?
帰り際いつも、机の上の書類をファイルしたり引き出しに入れたりして、できるだけ何も無い状態にして翌日に備える。そして急いでいない日は大体その後軽くお化粧を直しに、トイレへ向かう。
真後ろの席だから、私が帰りそうな時ってわからなくもないかもしれない。
うーん、なんか嫌な予感・・・。
「真鍋が居なくなって寂しくない?」
唐突に話題が180度変わって、私はちょっと戸惑った。
それまでは今日の全体ミーティングの話をしていたからだ。
まっ、真鍋さん?何故、真鍋さん?
真鍋さんは一言で言えば、癒し系。あんまり自分から人に話しかけるタイプではないけど、話しかけられたら丁寧に応えるし、ちょっと天然ぽくて、おもしろい人だった。
配属されたときにそのほんわかした雰囲気に少し惹かれた。だから異動になるって聞いたときは少し残念に思ったっけ。
「うーん、でも同じフロアーにいますしね。」
うちの経理課は1課~4課まで同じフロアーに位置し、3課とは10m離れているかいないかぐらい近い。まあ、距離で言えば近いけど全く仕事上で関わりはないから、挨拶とか世間話をたまーにするぐらいだけど・・・。
少し間をおいて、係長は、ちょっと困ったような、笑ったような顔をした。
「うーん。あなたの考えてることは全然わからないね。」
考えていることがわからないってどういうこと?私には係長の言っている意味がわかりません・・・。
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