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「・・・だしねっ・・・・あっ、タメ語。」
緊張感がなくなりすぎて、年齢も職場の先輩というか上司という立場も、すっかり飛んでいってしまった。気が緩みすぎだ。
「別にタメ口でいいよ。」
「いやいや、そんなわけには・・・。」
「・・・でそうしたの。・・・やばっ、またタメ語。」
「だからいいってば」
「はい。でも・・・。」
そんな会話が日中何度か繰り返されてからも、一応基本は敬語だった。
でも湘南でおいしいカレーを食べた後、ライトアップされたレインボーブリッジを見に東京へ戻る頃には、殆ど敬語なんて使っていなかった。
夜はすっかり更け、気がつけば終電もとっくにない、真夜中1時半。
でも私達はまだ止め処もなく話し込んでいた。昼間と全く変わらないペースで。。。
係長が車をとある車道の端に停めてから、優に1時間は経過していた。
楽しくて楽しくて仕方がなかったが、私には行かなければならない所ができてしまった。
トイレだ。
「じゃ、うちに来る?近くだから。」
家族と同居しているのにこんな非常識な時間にお邪魔するなんて・・・という抵抗感は多少あったものの、背に腹はかえられない。
「お願いします。」
さすがにここは敬語。うーん、久々。
5分もしないうちに係長の家に着いた。確かに近い。
都心の一等地に一軒家だなんて、すごい!なんて思いながら、係長の後に続いてこっそりと玄関に入った。
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