潤平

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「昼ごろまで寝て、そのあと駅前のパチスロに行ったよ。」 「へぇ。パチスロなんて行くんですか?」 「うん。結構行く。」 「私一度もやったこと無いんですけど、どの辺が面白いんですか?」 どうでもいい話だったが止まらない。 どう切り出していいのかもよくわからない。本題に入りたいような入りたくないような気分だった。 その後もしばらくは所謂世間話をしていたが、時計が目に入る度に、明日はまた会社だから早く寝なきゃと焦りを感じた。 ほんの束の間、話題が途切れた瞬間、 「私、係長のこと、好きになっちゃったんです。」 と思い切って伝えた。 「えっ、ホントに?」 驚いているのか、驚いたふりをしているのか、どんな顔をしているのか予想できないが、穏やかなやさしい声だった。 「昨日彼氏に別れ話をしてきました。」 ちょっと引くかなと思う反面、受けれてもらえそうな気もして、ありのままを伝えた。 「そっか、うれしいなぁ。」 犬に見せていたあの優しい笑みが脳裏をかすめる。そんな表情で話しているかはわからないけれど、そうであってほしいという願望かもしれない。 「あっ、もう12時になりますね。私、もう寝なきゃ。」 「そだね。じゃ、また明日ってことで。」 「はい。お休みなさい。」 「お休み。」 私は自分の気持ちを伝えられたことにすっかり満足していた。新しい恋の始まりに、わくわくしていた。 それは久しぶりの感覚だった。
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