潤平

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程よく酔っ払った二人はまだ帰りなくて、ふと見かけたカラオケへ入ることにした。 お互いによく行くと話はしていたものの、一緒に行くのはこれが初めてだった。 人生の先輩として、また会社の先輩として、社会人としての作法と言うか振る舞いについて冗談ぽくアドバイスをさりげなくもらうことはあっても、普段は実年齢差程は年齢の違いを感じない。 でもカラオケの選曲では聞いたこともない曲も結構あって、違う時代を垣間見ることになる。 とは言っても恐らくどの曲もポップスに分類されるもので、ハードロックやフォーク程のジャンルの違いはないから、知らない曲も新しい曲として聞けた。 それにカラオケで選ぶということは、その曲が好きとか歌って気持ちがいいとか思い出があるとか、何か大抵思い入れがあったりする。 私の知らない芹沢係長という人をちょっと理解できそうな気がしてうれしかった。 夏が大好きな彼は、サザンやチューブを何曲か入れた。あとは稲垣潤一やビリージョエル、トト、デュラン・デュランなどだ。 いろいろとつまみ食いをしながら、ゆっくり飲んで気持ちよく歌っていたが、やはり私はあまりお酒が強くないとしか言いようがない。 カラオケを出てホテルに向かった記憶が欠落している。 とにかく気がついたときにはホテルの部屋にいて、彼がシャワーを浴びてた。 ぼんやりと、「今日はお泊りなんだ~」なぁんてベットに横になりながら思ってた。 その後いつの間にか寝ていたらしく、起こされて、熱めのシャワーを浴びた。本当はぬるめの方が好きだけど、酔っていてうまく調節ができなかった。 でもそのおかげか、タオルで身体を拭き始めた辺りから先は、記憶がはっきりしている。勿論お酒はまだ抜けることはなく、多少ぼーっとはしていたけど・・・。
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