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報われない思いを断ち切れずにもがいていた頃の私と、重ねずにはいられなかった。 彼女はまさにあの頃の私だ。 鳩尾辺りは重いままだけど、その回答を読んで少し心が救われた。 彼女自身も既にわかっているであろう、でも認めたくない事実をはっきりと伝えつつ、名も知らない赤の他人の彼女に対する優しさのある穏やかな回答に・・・。 世の中捨てたもんじゃないなぁ~なんてしみじみ思ったりする。 「幸せになった者の勝ちだよ。」 誰かがあの頃、まるで蟻地獄にはまった蟻のような私にそう言った。 その通りだと思った。 いつしか幸せになった私を見せつけて、私を選ばなかったことを後悔させたかった。でもその反面、一体どうしたらそんな幸せになれるのか、全く見当もつかなかった。あの頃はいつしかそんな日がくればと思って毎日をなんとかやり過ごしていた。 今、私は暖がすごく好きだし、暖も私を好きで大切にしてくれるのがよくわかる。 毎朝出かける前には、必ずキスとハグと「好きだよ」をやさしい笑顔で言う。例え私が何かに怒っていても。そして寝る前には、すでに夢の中にいる私を起こさないように、そっとキスをして「好きだよ。お休み。」と小声で言う。時々それで起きてしまうから知っているけど、もちろんそんなのは構わない。 暖はギャンブルも浮気もタバコもしない。本人は納得いかないみたいだけど、私としては給料も申し分ない。 子供達はもちろんかわいいだけではないけれど、でもやはりかわいい。子供に関する悩みはその時々確かにいろいろあるが、どれも過ぎてみれば大したことではないように思える・・・。 はっと我にかえって、また食器を洗いだす。 でもこんなに幸せなのに、なんで私はまだあの人のことを思い出すんだろう・・・。
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