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俺はあの後シャンパンやらウィスキーやらバンバン飲みまくってすっかり潰れてしまったようで、気が付いた時には店のソファーで横になっていた。
「あら、やっと起きたの?」
声の方を見るとラフな私服姿の華子さんがタバコをふかしている。
「もう朝の6時よ?そろそろ私も帰りたいんだけど。」
意地悪そうに笑いながらタバコを俺に差し出してきた。
「…あ、いや、俺タバコ吸えないんで…。」
眠い目を擦りながらゆったりと体を起こすと頭に激痛が走った。
「いっ…つ、!!」
「まあ、あんだけ飲んだら誰だって二日酔いなるわよ。ばかねぇお酒は嗜む程度にしないと、商売にならないわよ?」
ぐちぐち言いながらも水を差し出してくれた華子さんを見て、俺に似てるなぁなんて勝手にオカンな部分に感心した。
「すみません、対して働けなくて…。」
そもそも初めて女装してオカマバーで働くなんて無理な話で、とりあえずお酒ばかり飲んで接客なんてした記憶がない。
「初めてだもの。しょうがないわ。明日からは飲む量考えて行動しなさいよ?」
「はい…って、明日も…?今日だけじゃないんですか…?」
「何言ってるのよ、あんだけイイお酒ばかり飲んで、今月絶対赤字よ!言っておくけど、お酒はタダじゃないよの?お客さまがボトル入れてくれたら別だけど、あなた自分で好き勝手頼んで飲んだんだから、その分くらい働きなさい!!」
…まじか。
「まじよ。」
また心読まれた…。
これでもかって位大きなため息をついて再びソファーに寝そべる。
華子さんが何かまたぐちぐち言い始めたから俺はふて寝を決めてやった。
そんなことしたってここでしばらく働くことには変わりない。
しばらくここで働くのか…。
絶対知り合いに会いませんよーに!!
こうして俺はこのオカマバーで働くハメになったのだった。
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