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翌日ー
カーテンの隙間から覗く光の眩しさに俺は目を覚ました。
…今何時や。
時計の針は昼前の11時を指していた。
今週ずっと働きっぱなしの体はだるく、毎日酒を飲んでいたせいか頭がズンと重い気がする。
「あー…だりー。」
地元の専門学校を卒業してもろくに就職しなかった俺は、母さんに首根っこ掴まれて都会へ放り出された。
可愛い息子に容赦ない。
まぁ就職しないでゴロゴロしてた俺も悪いが…。
越してきたばかりで殺風景なワンルーム。
自分以外誰も居ない部屋。
ずっと実家暮らしだった俺にとって、それは静かで寂しい空間だ。
こっちに友達や知り合いも少ないし、仕事が休みでもどうやって過ごしたらいいもんか、考えても良い答えは出てこない。
とりあえず腹減ったし、飯でも作るか…。
一応、調理師免許が取れる専門学校に通っていたため、多少料理には自信がある。
趣味程度の感覚だったし、ホテルとかレストランで働きたい訳でも無かったから、就職しなかった。
自分の好きなものしか作りたくないしな。
本日のメニューは、さっぱりとツナと大根おろしの和風パスタ、豆たっぷりのミネストローネ、麦茶。
…なんか女子っぽい。
とか思いながら綺麗に胃の中にそれらを収めた。
さて、これからどうすっかなー。
皿を洗いながらぼーっとしていると、携帯の着信音が聞こえた。
慌てて手についた泡を流して、テーブルに置いていた携帯を確認すると、華子さんからの着信だった。
「…。」
なんだか嫌な予感しかしなかったが、何も予定が無かった俺はしぶしぶ電話に出て華子さんのお願いとやらに耳を傾けた。
「ごめんね、せっかくのお休みなのに呼び出しちゃって。」
いいですよ、用事ないんで。と答えながらも心では、これから何されるんだろうとハラハラしていた。
華子さんに呼び出され俺は店に来ていた。真菜さんも呼んでいるようで、店を集合場所にしたらしい。
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