美術室にて

4/4
前へ
/143ページ
次へ
 茉莉は少しの間何も言わずにいた。  やがて「いいわ、そうしましょう。一人10分間で、刀万君から始めて」と言った。 「わかりました。ポーズはどうします」 「歩くポーズで御願い」  茉莉の言葉を聞くと、刀万は歩くポーズをする。  茉莉はそれを見ると壁にかかっている丸い時計を手で示した。 「今から48分までに刀万君を描いてね。いつも言っているけど、クロッキーは大まかな形をとらえることが大事だから、それを忘れずにね」  そして俺たちはクロッキー帳と鉛筆を片手に格闘し始めた。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加