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「ポップコーンと飲み物買おう。」 土御門が売店の列に並ぶ。 オレは土御門の後ろに並びながら、急いで言った。 「ここ、オレが払うよ。」 「ん?俺が払うよ。」 「チケットくれたんだし、オレにも払わせて欲しい。」 土御門は少し難しい顔をしたけど、思いついたみたいに微笑んだ。 「じゃ、ゴチになろかなあ」 オレは財布を取り出すと、 「ここは、オレに任せろ!」 と言いながら、マジックテープの財布をバリバリと開け始めた。 土御門が表情を引きつらせながら、オレを見た。 あれ? 尊敬されるはずでは? ステキーって言われるんだっけ? 「た、高橋が、マジックテープの財布を持ってる男子は、マジックテープ開けながら、『ここはオレに任せろ』って言うと、尊敬されるって・・・違うの?」 オレはおどおどと説明した。 土御門はめちゃくちゃ笑いを堪えている。 「だ、だまされた?」 土御門は口を抑えて、笑いを堪えながらうなずいた。 なんだか、 周りの人の視線が痛い。 ひとしきり、笑いの発作を堪えた土御門は、言いにくそうに、マジックテープの財布の話をし始めた。 「どんなにイケメン金持ちでも、マジックテープの財布を持ってる男はあり得ないって話で。 正しくは、 支払いは俺に任せろ! バリバリバリ やめてー みたいな。」 た、か、は、し。 「俺は別にマジックテープの財布でも、やめてっては言わないけどな。」 オレは黙って札を抜くと、ジーンズのポケットに札をしまい、マジックテープの財布をバックの奥底に押し込んだ。 高橋、ブッ殺す。 そして早めに財布を買おう。 我に帰ると、順番が回って来ていた。ポップコーンは塩、飲み物はアイスティーのミルクとさっくり決める。 早くこの場を脱出したいです。
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