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え?
カチンとオレは固まって、状況を確認する。
土御門はオレの手を握っている。
なんでだ?
ポップコーン、食っちゃダメだったのかな?
つまみ食い!めっ!的な??
そろそろと手を引こうとしたが、土御門はがっちり手を握って離そうとしない。
土御門を見るけど、奴は映画の画面から目を離さない。
もう一度、手を引っ込めようとしたけど、手は抜けない。
多分、思い切り引っ張ればいいんだろうけど、状況が把握出来ないのに、騒いで注意を引きたくない。
オレは周りをキョロキョロした。
誰か見てたりして。
適当に選んだ映画は、新作ではなかったらしく、土曜日でもそんなに混んでなくて、俺たちの列には人は座っていない。
後ろは壁だから、
後ろからは見られない。
誰かが振り向かなければ、
誰にも見られない。
あれ?
ここ、死角?
つか、よく見ると、
前のほうも結構席が空いてる。
この劇場の、見えやすい位置は多分、真ん中辺りだから、空いているのに、なんで後ろになったんだろう。
そういや、お好きな席が指定出来ますって、受付のお姉さんが言って、土御門が席を指差した。
この席を。
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