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おしゃれな感じのイタリアンレストランにオレたちはいた。
バイキングと言っても、
全部取り皿から取るやつじゃなくて、パスタを注文して、
サラダや一品料理はお皿からどうぞという形式らしい。
人気の店らしく、大人のお姉さんやカップルがいっぱいいる。
高校生の姿はオレくらい。
つまり、土御門は皆さんに溶け込んでいるわけ。
ある意味ここも値段のないメニュー出てくるな。
パスタのリストを見ながら、オレは思った。
田舎暮らしと貧乏暮らしが長すぎて、イマイチイメージがつかめない。あんまり外食したことないんだよね。
ナポリタンとかミートソースどこ?
難しい顔をしてメニューを見ていると、土御門がメニューを覗いて来た。
「好きそうなのない?
割と好き嫌いあるほう?」
「好き嫌いはないんだけど、味のイメージがつかめない。どれがおいしいの?」
「ここの店はハズレはないんだけど・・・」
土御門はメニューを見ると、
味の説明を始めた。
長い指がゆっくりメニューをたどる。土御門は綺麗な手をしてる。
あの指が・・・
「ん?」
はっとして、オレはうつむくと、自分を叱りつけた。
思い出してどうするんだよ!
「えと、ハルと一緒でいいです。」
「マジで?別なの頼んで、味見どうぞ~とかしたくね?」
土御門が微笑みながらメニューから目をあげた。
「それ、男同士でやるもんなの?」
「他の野郎とはやんないけど、
ななとはしたいな。
俺たち仲良しだし。」
微笑みに誘うような色が広がる。
オレがうろたえていると、店員さんが注文を取りに来た。
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