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「iPhoneのケースが割れた。」 と土御門が言うので、でっかい電器屋に行くことになった。 「iPhoneって、ケースないとめっちゃ滑るよな。」 「ああ、昨日、枕元の教科書積んでる所に置いてたら、夜中、頭にぶつかった。」 「枕元に教科書積むとか、あり得ない。」 「オレ、学費免除組だから、割と必死なんよ。」 「まあ、いつ見ても、勉強してるよなあ。」 いつ見てもと言われると、結構見てるんですか?と聞きたくなるけど、見てるよ。とか、サラリと言われそうで、ちょっと怖いので黙っておこう。 「うわ、これ全部iPhone用?」 ズラリと並んだケースにびっくりする。 「ななはどんなの好き?選んでよ。」 「えー?オレ、センス悪いし。」 とか言いつつ、ケースをじっくりと眺める。 オレ、メカスキーなんだよな。 実は電器屋わくてか。みたいな。 そういや、借り物のiPhone傷つけるのも嫌だから、安いのでもはめといた方いいかなあ。 土御門は安っぽいのは似合わないな~とか思って見ていると、ガンメタル色のケースが目にはいる。 これは。と思って手を伸ばすけど、微妙に届かない。 「くっ・・・」 「あ、これ?」 土御門がさっくりとケースを取る。くそう。何この敗北感。 ん?って感じで土御門がオレを見る。男の背が小さいのがステータスじゃないのが口惜しい。 気を取り直して、オレはケースを見た。 ガンメタルのケースはアルミの素材らしく、なんかとてもいい。 真ん中がシェイプされてて握りやすそう。 うお、音の向きが変わるですと~。iPhone音が下から出るからなあ。 「これ、かっこいいよね。」 オレはうっとり言った。 こういう未来っぽいデザイン、大好きなんだよなあ。 「こういうの好きなんだ?ああ、これ、いいかも。」 土御門はケースの色違いをひょいひょいと取り出す。 「色は?ガンメタがいい?黒とか赤もある。シルバーも」 「わあ。黒もいいなあ。」 「モノトーン系が好き?」 「好き好き。いいよね~」 メカスキーの血が沸騰しまくり。 いいなあ、いいなあ。
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