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「色は?」 「オレは無難に黒派だけど、ハルはガンメタか銀かなあ。」 オレはガンメタとシルバーを両手に取って、じーっと見た。 「そう?」 「ハルはスタイリッシュでゴージャスな感じだから、黒じゃ無難過ぎるだろ?銀、いや、やっぱ、ガンメタかなあ。うん、ガンメタだな。」 はっ! オレはピキーンと固まった。 なんか、ケースがステキすぎて、きゃっきゃうふふで脳内に浮かぶ言葉をそのままゲロった様な。 オレ、なんつった? スタイリッシュでゴージャス? ひいっ! ギギギっと、土御門の方を見ると、若干頬を染めた土御門が、照れたように笑っていた。 う、わ。 オレの顔が真っ赤になる。 「ごめごめごめん。」 オレはエビのように後ずさった。 うー。オレ、バカ。 オレはケースを握りしめたまま、その辺のケースを見ていた。 土御門は外したケースを元に戻している。 「これ、買う。」 ガンメタのケースを後ろから引っこ抜くと、土御門が耳元で囁いた。 びくんと身体が跳ねる。 「あ、うんうん。」 土御門が離れて行く。 オレは残ったシルバーのケースを棚に戻そうと背伸びして、落とした。 裏に貼ってあった値段が見える。 12980えん? うっひゃ~高い! どうしても届かないので、シルバーのケースは、一段下のフックに引っ掛けた。 しかし、土御門、レジで困惑していなければいいが。 オレは土御門が戻って来るまでぷらぷらと店内を見て回った。
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