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エレベーターの横の店内表示を見ている時、誰かに腕をつかまれた。
振り返ると、黒髪の長身の男が立っていた。だらしなく来こなした白のシャツ。長めのくせのない髪が襟にかかっている。
目つきはやたらと鋭い。
「おまえ、誰?」
え?
「なんで、春樹といんの?」
土御門の関係者?
静かな声だけど、明らかな悪意がこもっている。
オレが答えれずにいると、つかんだ手に力が入る。
「答えろよ。」
答えろと言われても。
ギリギリと捕まれた腕が悲鳴をあげる。
「離せ!」
オレはびびりまくって腕を振りほどこうとしたが、相手はやたら力が強い。
「答えろ。」
ドスの効いた声。
マジでこわい。
「真(しん)?」
土御門の声がする。
捕まれた腕が離されて、オレは後ずさった。
「おまえ、何やってんの?」
土御門が静かに尋ねる。
男の険しい表情がさっと消える。
「神無月さんに挨拶してたんだ。学校一の秀才に校外で会えるなんて、珍しいからね。」
「?!」
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