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さっき、こいつ、オレに誰って言ったよね? にこにこしながら、オレに真と呼ばれた男が近付く。 オレはびびって、一歩下がった。 土御門がオレの前に割って入った。 「神無月が脅えてるだろ。」 「・・・・」 あ、こいつ見たことある。 オレは思い出した。 土御門と同じクラスで、いつも一緒にいる奴だ。 「お前、帰れ。」 キッパリと土御門が言い渡すと、男の目に怒りが浮かんでオレを睨んだ。怒りは一瞬で消えて、またにこやかな表情になる。 「神無月さん、またね。」 男はにっこりと笑うと、手をひらひらさせて、店を出て行った。 「大丈夫か? あいつに、なんかされた?」 「腕を捕まれただけ」 腕が赤くなっているのを見て、土御門が激しく毒づいた。 「あいつ、誰?」 「分家の息子で、片方真(かたがたしん)って言うんだけど。同じクラスで。 ボディガード気取りでオレに近付く人を選ぶ権利があるって、勘違いしてる。」 「そうなんだ。」 つまり、 オレは認められなかったんだ。 ぽしゅんと、膨らんでいた何かが消えた。
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