4727人が本棚に入れています
本棚に追加
さっき、こいつ、オレに誰って言ったよね?
にこにこしながら、オレに真と呼ばれた男が近付く。
オレはびびって、一歩下がった。
土御門がオレの前に割って入った。
「神無月が脅えてるだろ。」
「・・・・」
あ、こいつ見たことある。
オレは思い出した。
土御門と同じクラスで、いつも一緒にいる奴だ。
「お前、帰れ。」
キッパリと土御門が言い渡すと、男の目に怒りが浮かんでオレを睨んだ。怒りは一瞬で消えて、またにこやかな表情になる。
「神無月さん、またね。」
男はにっこりと笑うと、手をひらひらさせて、店を出て行った。
「大丈夫か?
あいつに、なんかされた?」
「腕を捕まれただけ」
腕が赤くなっているのを見て、土御門が激しく毒づいた。
「あいつ、誰?」
「分家の息子で、片方真(かたがたしん)って言うんだけど。同じクラスで。
ボディガード気取りでオレに近付く人を選ぶ権利があるって、勘違いしてる。」
「そうなんだ。」
つまり、
オレは認められなかったんだ。
ぽしゅんと、膨らんでいた何かが消えた。
最初のコメントを投稿しよう!