ドッペル人形【4話】

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あたしは再び拓真君に目を向ける。 彼は水面から上半身を出したまま、それ以降は上がってこようとしない。 何故? 「ねえ、拓真君。……こっちに来てよ?」 「……ごめん。それは出来ない」 拓真君は顔を俯ける。 彼の髪の毛から滴り落ちる雫が静かに床に落ちた。 それはまるで拓真君の涙の様だった。 「ま、待ってよ!」 あたしは声を張り上げる。 「どうしてこっちに来れないの!? 拓真君が死んでるから? そんなの……関係ないし、あたし拓真君と離れるの嫌だよ! 幽霊でも良いからずっとあたしの側にいてよ? ねえ……!」 三田村君の次は拓真君もいなくなる? そんなのやだ。 どうして大切だと思った人はあたしの前からいなくなっちゃうの? 嫌だよ、もう……。 涙が出てくる。
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