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腕に力を入れ白い手に必死に抵抗する拓真君。
だがそれも虚しく、深く濁った水面は彼を飲み込もうと確実に近づいてくる。
「拓真君、諦めないで……嫌だよ……!」
「俺だって……諦めたくねえよっ、畜生っ!!」
拓真君は歯を食いしばった。
白い手は容赦なく彼を引っ張っている。
――激しい水音がした。
えっ? これ、いくらなんでも変じゃない?
あきらかに拓真君のいる場所からじゃない。
あたしは水音がした方を見る。
ち……ちょっと待って!? 嘘でしょ?
ここであたしは最悪な事態が迫っていることに気づいた。
なんと、あたしが水面につけた明かりが消えているではないか。
それにより、魚が激しい水しぶきを立て、こちらへ向かってきていたのだ。
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