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拓真君は両手に力を込め踏ん張る。
「ハアハア…ゴフッ……ゴホッ……ハア……りしま……」
この間に魚が大分迫ってきた。
距離を見るだけでも絶望的だ。
も、もうダメ……。
「拓真君、早く水からあがってっっ!!!!」
彼はあたしを見て穏やかな笑みを浮かべる。
「……霧島…最後に…これだけ、は……。お…れ……な、ずっと…ハア…ハア……お…まえ…ハア……の……こと…が…ゴホッ……!」
「……拓真君?」
それってもしかして……
魚はとうとう拓真君の背後にやって来た。
固い鱗に覆われた化け物みたいな魚。
ソイツが鋭い牙の並んだ大きな口をガバッと開ける。
拓真く――
あっ……
「いやああああっっ!!!!」
あたしは目を見開いたまま、床に崩れ落ちた。
――どうしてこんなことに?
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