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あたしは急いで操作を再開させる。
37――
ええと……
36――35――……
ええと、そうだ!
34――……
つ、次はあたしが移動させる番で……
混乱する頭を整理させるだけでも、残りの秒がどんどんと無くなっていく。
残り28秒。
――少なすぎる。
本当は心のどこかで分かっていたんだ。
操作時間と船の移動するスピードを考えたら、もう拓真君を助ける事ができないってことが。
でも認めたくなかったから……
悔しかったから……
からくり人形の音はもうあたしの背後ギリギリに迫っている。
「霧島ーーっ!! もう良いからこっちへ来いよ!! お前は十分頑張ったから!」
拓真君の大きな声がした。
「……っ!!」
拓真君……。
間に合わないのなら。
可能性がないのなら。
残りの時間はせめて拓真君の側にいてあげたい……
ごめんね、拓真君。
あたしのせいで。
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