ドッペル人形【4話】

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あたしは急いで操作を再開させる。 37―― ええと…… 36――35――…… ええと、そうだ! 34――…… つ、次はあたしが移動させる番で…… 混乱する頭を整理させるだけでも、残りの秒がどんどんと無くなっていく。 残り28秒。 ――少なすぎる。 本当は心のどこかで分かっていたんだ。 操作時間と船の移動するスピードを考えたら、もう拓真君を助ける事ができないってことが。 でも認めたくなかったから…… 悔しかったから…… からくり人形の音はもうあたしの背後ギリギリに迫っている。 「霧島ーーっ!! もう良いからこっちへ来いよ!! お前は十分頑張ったから!」 拓真君の大きな声がした。 「……っ!!」 拓真君……。 間に合わないのなら。 可能性がないのなら。 残りの時間はせめて拓真君の側にいてあげたい…… ごめんね、拓真君。 あたしのせいで。
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