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お姉ちゃんはあたしが座ったのを確認すると、パソコンをいじるのをやめこちらを向いた。
「詩穂、私はあんたを失いたくないの。人形はきっと詩穂を迎えにくるはずよ」
「……」
お姉ちゃん、もしかしてあたしの為に出掛けてくれていたのかな?
「お姉ちゃん、これどうしたの?」
床に転がっていた木彫りの人形を拾い上げて尋ねる。
「それは確か……不幸が起きた時に身代わりになってくれる人形らしいよ。効くかどうかは分かんないけど」
……。
「じゃあこれは?」
あたしは御札の束を掴み上げる。
「それは魔除けの御札。霊的な者の侵入を防ぐ効果があるらしいの。効くかどうかは分かんないけど……。やらないよりはましでしょ?」
やっぱりあたしの為に……。
目頭が熱くなった。
こんなに沢山の物を会社帰りに集められるわけがない。
お姉ちゃん、もしや会社を休んで探してきてくれたのかな?
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