約束

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「あ、別に無理しなくていいんだけど」 「そうじゃなくて、予定があるから……」 「そっか」  彼女とは次の休日も会う約束をしている。予定とはおそらくそれのことだろう。サイラスの誘いより自分との約束を優先してくれたことに、ジョシュはほっと胸を撫で下ろした。が、それも一瞬のことである。 「じゃあ、その次の休日はどうかな?」 「ごめんなさい、その日も予定があるの……言い訳じゃなくて……」  ユールベルは申し訳なさそうに言う。  ジョシュはフォークの先を見つめて眉をひそめた。自分がユールベルと約束をしたのは次の休日だけである。いつも帰り際に次の約束を取り付けているのだが、その先の約束まではしたことがない。だから、彼女のその予定は、自分以外の誰かとの約束ということになる。もちろん、誰と休日を過ごしても彼女の自由なのだが--。 「そっか、じゃあ暇なときがあったら誘ってくれる?」 「ええ……」  サイラスの声は明るいままだった。  ジョシュは口を引き結んで、フォークをサラダに突き刺した。二人が楽しそうにとりとめのない話を続けるのを聞きながら、身を隠したまま、音を立てないようひっそりとサラダを口に運んだ。
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