寂寥

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 チチチチチチ……。  遠くに小鳥のさえずりが聞こえる。  ユールベルは少し背中を丸め、膝を抱えるように体を横たえていた。強い日差しに照りつけられた足もとがジリジリと熱い。 「少しは落ち着いたか?」  いつもと変わらないジョシュの口調。けれど、ユールベルは背を向けたまま何も答えなかった。頭上の木々がさわさわと擦れる音と、優しい草の匂いに包まれながら、小さな口をきゅっと結んで身を固くする。 「無理しなくてもいいわ」 「無理なんてしてない……まあ、かなり驚いたけど……」  抱いて、少しでも私のことを想ってくれるなら--我を忘れてそんなことを求めてしまったユールベルを、ジョシュは理由も聞かずにこの公園へ連れてきてくれた。彼は大きな木陰に腰を下ろして空を見上げたが、ユールベルはとても彼の顔を見られず、その隣に寝転がりずっと背を向けていた。 「気持ちが沈んだときやつらいときは、外に出て青空を見上げるのが一番いい」 「……雨が降ってたら?」 「いつかは晴れるだろ」  ジョシュは苦笑しながら答えた。その答えを、ユールベルはうらやましく思い、同時に彼との距離を大きく感じた。 「もうわかってると思うけれど、私、あなたが考えていたような無垢な女の子じゃない」 「別に、俺は……」  ジョシュはそう反論しかけて口ごもった。ユールベルは淡々と続ける。 「あなたがそう誤解しているのはわかっていた。わかっていたけど否定しなかった。あなたの優しさを利用していたの。寂しかったから、一緒にいたかったから……だからごめんなさい。もうこれで終わりにするわ」 「ちょっと待てよ! なに言ってんだよ、勝手に終わらせるなよ!」  ジョシュは焦ったように振り向いて言った。それでもユールベルは背を向けたまま動かない。少し呼吸をしてから、静かに話し始める。 「私、今朝、友達に会ってきたの。話があるって言われて」  ジョシュは相槌も打たず黙りこくっていた。ユールベルから彼の姿は見えないが、いきなり話が変わって困惑しているだろうことは、何となく空気で伝わってくる。少し緊張して手元の芝を握りしめた。
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