寂寥

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「その友達、付き合ってるって……私が以前一緒に住んでいた人と」 「す……?!」  ジョシュは素っ頓狂な声を上げかけて、それを呑み込んだ。 「……今でも、そいつのことが好きなのか?」 「優しくしてくれるから、寂しさを埋めるために利用していたのよ。きっと、最初からずっと……。好きな人は他にいたけれど、相手にしてもらえなかったから。でも、そういうのは良くないと思って自立しようとした。けれど無理だった。さっきみたいに友達に嫉妬したり、あなたを利用したり、弟にまで縋ったり……」  ユールベルの声は次第に小さくなっていく。芝を握る手に力がこもり、ブチブチとちぎれる音がした。 「利用とか言うなよ。だいたい弟は家族なんだから遠慮することないだろう」 「そう、家族なの。家族だから許されない……あんなこと……」 「…………」  張りつめた空気。ジョシュが背後で小さく息を呑んだ。ユールベルの発言は曖昧だったが、その言い方から何があったか察したのだろう。それでも構わないと思って口にしたのだから、覚悟はできている。ユールベルは芝を握る手を緩めた。 「ここまで聞いたら軽蔑する以外にないでしょう? もういいの」 「放っておけるかよ!」  ジョシュは横たわるユールベルの両側に手をつき、真上から覗き込んで強く訴える。そろりと視線を上に向けたユールベルに、彼の真剣な眼差しが突き刺さった。
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