寂寥

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「俺と一緒にいたいって思ってくれたんだろう? それって俺のことを好きってことじゃないのか? それともまだ相手にしてくれなかったヤツに未練があるのか?」 「わからない……本当にわからないの……」  必死に追及されて混乱する。言い逃れではなく、本当に自分の気持ちがわからなかった。ユールベルが潤んだ目を細めると、ジョシュは奥歯を噛みしめて苦しげに顔をしかめた。 「俺は、利用されたなんて思っていない。お互いに会いたいから会ってただけだろ? 嘘をついて騙してたわけでもないのにそんな言い方するなよ。俺のことを嫌ってるわけじゃないなら、これからも……」 「同情ならやめて。私もあなたも傷つくだけだから」 「同情じゃない。俺が終わりにしたくないだけだ!」  今の彼がそう思っていることは間違いないだろうが、それはおそらく一時の感情に流されてのこと。だから、それに縋ってはいけないし、自分からきっぱりと終わらせなければならない。これ以上、彼に後悔させないように、自分が後悔しないように--。 「……来週、また会ってくれるか?」  ジョシュが緊張した面持ちで問いかけてくる。  ユールベルは彼から目を逸らすと、少し考え、やがてぎこちなくこくりと頷いた。
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