決意

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「おまえたちのことを聞いた」  石段を下りきったところで、ジョシュは河原の小石を踏み鳴らしつつ切り出した。  アンソニーは不思議そうな顔で振り向く。 「どういうこと?」 「それは、その……ユールベルとおまえの関係というか……えっと……」  覚悟は決めてきたつもりだったが、いざとなると口に出すのが憚られ、みっともないくらい狼狽えた曖昧な言い方になってしまう。しかし、アンソニーは、その様子で何を言いたいのか理解したようだ。一瞬、息を呑んで目を見開いたが、すぐに溜息をつきながら両手を腰に当て、いかにも残念そうに大きく抑揚をつけて言う。 「なんだぁ、先生、喋っちゃったんだ」  今度はジョシュが目を見開いた。 「え……? 先生って、サイラスか?」 「先生から聞いたんじゃないの?」 「俺は、ユールベルから聞いた……」 「へえ、姉さんが……」  アンソニーは斜め下に視線を落としながら考え込んだ。まさかユールベル本人が言うとは思わなかったのだろう。考え込みたくなるのも無理はない。だが、それをいうならジョシュも同じである。 「サイラスは知ってたのか?」 「まあね、僕が言ったから」  半信半疑で尋ねると、アンソニーは事も無げにさらりと答える。なぜ、サイラスにだけ話したのか疑問に思ったが、彼はサイラスを慕っており、ユールベルと付き合ってほしいと願っていたようなので、あえて本当のことを話しておいたのかもしれない。
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