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「わかったよね? 同情なんてやわな感情で支えられるものじゃないって」
「……同情なんかじゃない」
ジョシュは低く確かな声で言い切った。
確かに、生半可な気持ちでは支え切れないだろう。それがわからないほど愚かではない。わかっていてもなお、ユールベルを守りたいと強く思ったのだ。同情もあるかもしれない。だが、どうでもいい相手だったらここまで考えはしない。彼女と出会う以前は、他人との関わりを望まず、たとえ同情を感じても行動を起こすことはなかったのだから。
「じゃあ、おにいさんの決意を聞かせてよ」
「決意……?」
思わず聞き返すと、アンソニーは燃えるような鮮やかな青の瞳を、まっすぐジョシュに向けた。
「行動以前に言葉にすら出来ない人を、僕は信用しない」
ジョシュはごくりと唾を飲んだ。
さらさらと川の流れる音が、急に大きく聞こえてきた。それに同調するかのように鼓動が高まっていく。誤魔化す理由も必然もない。ただ、アンソニーに認めてもらえるか自信がなくて、怖かった。
「……俺は」
随分と長い沈黙のあと、ジョシュはやや擦れた声で切り出した。
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