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「おじさまって、もしかして……」
ジョシュは大きな屋敷を仰ぎ見ながら、顔を引きつらせた。
しかし、ユールベルには彼に構っている余裕などなかった。無言のまま進んでいき、躊躇うことなくチャイムを鳴らす。しばらくすると重量感のある扉が開き、レイチェルが優しく微笑んで二人を迎えた。
「いらっしゃい、ユールベル……それと、あなたは研究所にいた鼻血の……?」
「それはもう忘れてください!」
ジョシュは顔を真っ赤にして言い返した。レイチェルは口もとに手を添え、くすくす笑っている。このいかにも接点がなさそうな二人に、いったいどういう面識があるのだろうか--ユールベルは少し驚き、そして気になったが、今はそれに気をとられている場合ではない。レイチェルに向き直ると、苦手意識を感じながらも、懸命に彼女の目を見ながら説明を始める。
「私、おじさまにどうしても訊きたいことがあって……」
「ええ、居間にいるわよ。サイファも、アンソニーも」
「……えっ?!」
ユールベルとジョシュは、同時に目を見開いて声を上げた。
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