荒波

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「ユールベル、データの集計は進んでる?」 「はい、まもなく終わります」 「じゃあ、終わったらジョシュに送ってね」 「はい……」 「よろしくー」  ユールベルは実習生として魔導科学技術研究所に来ていた。あと半年ほどでアカデミーを卒業し、その後、ここで勤務することになっているのだ。  社会に出てやっていける自信など、彼女にはなかった。  だが、そうしなければならないとサイファに諭された。それが社会のシステムなのだという。ユールベルも18歳になり、成人となった。いつまでも子供のままでいてはいけないのだ。  両親から受けている金銭的援助も、アカデミー卒業後に打ち切ることに決定された。つまり、自分が働かなければ、生きていくこともできないのである。  サイファは困ったときは手を差し伸べてくれる。だが、決して甘やかしてはくれない。  そのことについて不満があるわけではない。自分のためであることはわかっている。ただ、漠然とした不安が自分を苦しめていた。  しかしまだ三日目だ。こんなところで挫折するわけにはいかない--。
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