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一晩ずっと青葉が香奈美に相手が私だと言わないかと心配で、昨日はほとんど眠れなかった。
「おはよう。杏奈」
下駄箱で靴を履き替えているといつもと変わらない笑顔の香奈美が挨拶してきた。
まだバレてない―――いつもと変わらない笑顔の香奈美に私ははホッとする。
「おはよう」
私はとりあえず挨拶を返し、香奈美と一緒に教室に向うが、ふいに香奈美が話をふってくる。
「昨日ね、青葉と帰ったんだ」
青葉……その名前を聞いただけで私の胸は高鳴り、でもそれを悟られないように必死に平静を保つ。
「―――そうなんだ」
青葉とどんな話をしたのかその続きが気になるが聞けない。
「やっぱりあの噂、本当だったみたい」
聞かなくても香奈美は自ら話してくれ、でもそれが何を意味するのか分からず、私がかなり動揺した。
私の不安を煽るように香奈美の表情が徐々に曇っていく。
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