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香奈美にバレた?
―――不安と悲しみが渦をまくように襲いかかってくる。
「あの日、青葉フラれたんだって」
速まる鼓動と緊張のせいかえらく渇く唇。
どうしよう……
手に汗を握る思いで、香奈美から次に返ってきた言葉を待ったが、私の予想とは全く違うものだった。
「でも相手は教えてくれないの。一体、誰なんだろうね」
―――バレていない。
ホッとした―――でもその反面、すごく辛かった。
「諦めないけどね。私がフラれたわけじゃないし」
明るく振る舞う香奈美。
何も知らない香奈美。
またひとつ香奈美に秘密ができてしまったことへの罪悪感が胸に重くのしかかった。
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