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私の言葉に驚く青葉をよそに私は続けて言う。
「―――香奈美に言わないでくれて」
一瞬、何のことを言っているのか分からなかったみたいだが、すぐに私の『ありがとう』の意味が分かったらしく青葉は微かに笑った。
その顔にまた私はドキドキして俯いてしまう。
「それ、クセ?」
「え? ―――何が?」
青葉の言葉に少し顔を上げるとすごく悲しげな顔で私を見ていた。
「―――下向くの。俺と話しているときいつも下向いてるだろ?そんなに俺が嫌い?」
そんなつもりじゃないのに……
顔を上げなきゃって思うのにできない。
「そんなことない。ただ……」
いい言葉が見つからなくて言葉に詰まってしまう。
だって本当のことなんて絶対に言えない―――「好きすぎて恥ずかしくて見れない」なんて。
言われた傍からまた下を向いてしまった私は慌てて顔を上げると「いいよ」と青葉が微かに笑って言ってくれた。
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