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とっさに美術室を飛び出してしまったけど所詮、同じ学校で同じ学年。
逃げ切ることなんかできるわけもなく、部活にも出ずにホームルーム後、慌てて教室を出たけど廊下にはすでに青葉が待ち伏せをするようにいた。
今ここで走って逃げてみても私の足では逃げ切れるわけもないし、逆に周りに変に見られてしまう。
―――私の逃走計画はあっさりと失敗に終わってしまった。
目の前には青葉がいて、後ろの教室には香奈美いて、もう逃げ場なんてない。
青葉もそれを分かっていて教室の前で待ち伏せていたんだと思う。
「あれ?青葉、どうしたの?」
急に後ろからどこか嬉しそうな香奈美の声がしてよけいに緊張が走る。
青葉が変なことを言い出さないかとハラハラしながら、祈るような気持ちで青葉をチラリと見る。
「や……今日、ちょっと用があって部活に出れないから香奈美に言っとこうと思って」
スッと私の脇をすり抜けるように香奈美に歩み寄る青葉に私は少しホッとした。
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