秘密

5/11
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 青葉のあとについて少しキツい坂道を上る。 「もう少しだから……」  だんだんと息があがってくる私に振り返り、そう言うと青葉は私に手を差しのべた。  その手をとるか迷う私の手を強引に掴み、驚く私に笑いかけてくれた。  ドキッとして思わず顔を背け、顔が赤くなってしまうのを隠す。  青葉はそんな私を気にすることなく手を引き歩き出し、私もそんな青葉の背中を見て歩いた。  懐かしい―――昔もこうしてこの坂を上ったことを思い出す。  行き先なんて最初から分かっていた。  ―――『あの場所』だって。  あの思い出の場所―――そう言えばあれ以来、一度も近づいたりしてなかったことを思い出す。 .
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!