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青葉のあとについて少しキツい坂道を上る。
「もう少しだから……」
だんだんと息があがってくる私に振り返り、そう言うと青葉は私に手を差しのべた。
その手をとるか迷う私の手を強引に掴み、驚く私に笑いかけてくれた。
ドキッとして思わず顔を背け、顔が赤くなってしまうのを隠す。
青葉はそんな私を気にすることなく手を引き歩き出し、私もそんな青葉の背中を見て歩いた。
懐かしい―――昔もこうしてこの坂を上ったことを思い出す。
行き先なんて最初から分かっていた。
―――『あの場所』だって。
あの思い出の場所―――そう言えばあれ以来、一度も近づいたりしてなかったことを思い出す。
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