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どう見ても彼女が無理をしているようにしか見えず、我慢できなかった俺は
「顔色悪いけど大丈夫か?」
言いながら彼女の額に手をあると、彼女は目を大きく開き、頬を少し赤らめる。
「熱はないな」
熱がないのを確認すると少し安心でき、ホッと胸を撫で下ろす。
なのに彼女ときたらその表情は暗く、俺から目を反らした。
いくら隠しているからといっても彼女の態度はあんまりで、分かっていてもやっぱり俺はショックだった。
なのに彼女は俺を気にすることもなく香奈美をチラチラ見ていて、俺は気持ちが沈むばかり。
なぜかみんなして黙り込み、変な空気が漂う中、俺はもう一度、彼女に声をかけようとした。
瞬間、タイミング良いのか悪いのか分からないけど、チャイムが鳴り俺はその変な空気を残したまま、渋々、教室に戻っていくしかなかった。
なんなんだろう―――何もあそこまで露骨に嫌がらなくてもいいのに。
脳裏に彼女の暗い顔が横切り、俺は来たときとは別人のような重い足取りで廊下を歩いた。
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