10人が本棚に入れています
本棚に追加
付き合い初めて一週間経った頃だった。
朝は低血圧のせいでいつもテンションが低い香奈美が、今日に限ってやけに機嫌がよく、朝からずっとにやけっぱなしだった。
｢なんか良いことでもあった？｣
気になって香奈美の前の席に座り聞いてみる。
｢え？うん……｣
何故か嬉しそうに顔を赤らめる香奈美は明らかにいつもと様子が違った。
嫌な予感がした―――香奈美がこんな顔をするのは青葉のことを話す時だって私は知っていたから。
後ろめたさから余計に感じたのかもしれないと思いたかったが、でも現実は甘くはなくなかった。
やっぱりこれは罰なのだろうか―――香奈美を裏切ったから。
香奈美が私に小さく手招きし、私は嫌な予感をしつつも香奈美に顔を近づける。
｢最近さ、青葉よく来るよね｣
小さな声で嬉しそうに話す香奈美に私は｢そうだね｣と変に否定もできず、相づちをうつ。
それに香奈美がより嬉しそうに顔を赤らめ笑い、香奈美の些細な変化に私の鼓動は速まり、息が詰まりそうなくらい緊張感を覚える。
.
最初のコメントを投稿しよう！