10人が本棚に入れています
本棚に追加
香奈美から私に視線を移し不思議そうに私を見た。
本当なら嬉しいはずのに今は気づいてほしくなかった―――だって香奈美に気づかれちゃう。
絶対にバレちゃダメなのに……
「杏奈、どうかしたの?」
でも私の顔を覗き込み声をかけてきたのは香奈美で、内心ホッとした。
「…何でもない」
それで通用するかなんて分からなかったが、動揺した私にはそれ以外の言葉は見つからない。
そんな私を不審そうに見る香奈美の隣で、今にも声をかけてきそうな青葉の姿が目に入る。
「顔色悪いけど大丈夫か?」
言いながら青葉があまりにも自然に私の額に手をあて、私は青葉の行動に驚き目を見開いた。
「熱はないな」
青葉はホッとした顔で私に微笑み、私はすごくドキドキしてしまう。
でも香奈美の顔を見て一気に気持ちが引いていくのを感じる。
.
最初のコメントを投稿しよう!