誤解

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       *  彼女と付き合い出し一週間くらい経った。  朝の短い時間と夜のメール、あと時々の電話だけだったが、今の俺には十分すぎる彼女との時間だった。  でも何よりの楽しみは香奈美に会いに行くフリをして彼女に会いに行くこと。  今まで彼女に嫌われ避けられていると思ってあまり香奈美の教室には行かなかったけど、付き合いだしてからは単純で現金な俺は何かと理由をつけ、香奈美の教室に足を運ぶ。  最初は不思議そうだった香奈美も次第に気にしなくなったみたいで、今ではそれどころか教室に行くと快く迎え入れてくれる。  香奈美の変わりようになんか裏があるんじゃないかと思わず疑ってしまったが、あまりに普通な様子に俺も気にしなくなっていた。 「おい、今日も行くのかよ」  早々にご飯を食べ終わり、席を立つ俺に要が少し不服そうに言う。 「まあ…な」  俺は早く行きたい気持ちを抑え、要に答える。 .
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